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【経木職人の仕事って?】経木職人田中さんの一週間

経木職人は経木を削るだけでなく、一週間を通して様々な仕事をしています。
経木職人田中さんの一週間を追ってみました。
月曜日
8:15 木工職人みんなでラジオ体操をして、それぞれの一日の予定を共有します。

月曜日は“木取り”をします。木取りとは、経木の材料であるアカマツを経木の大きさの角材にしていく作業です。
前週の金曜日、農と森事業部のスタッフが伐採したアカマツ。一本ずつユニックから降ろし、節のある部分を避けてチェーンソーで玉切りしていきます。




玉切りした丸太をよく観察し、美しい木目を出すにはどのように切れば良いかを見極めて角材にしていきます。
帯鋸という機械を使って“荒木取り(あらきどり)”をします。


12:00 お昼休み お昼ご飯を食べ終わり、一緒に作業をしている大場さんとキャッチボールをします。ボールを取ったらすぐに投げる。グローブにボールが収まる音が心地よく、とっても楽しそうです。


午前中に荒木取りした木材をさらに別の機械2台を使って3面を切り落し、直角に整えます。
経木生産の中で、月曜日に行う木取りが最も難しく最も重要で、一週間の削り作業に大きく影響してくるといいます。


15:00 15分間の休憩時間を取って、再び木取りをします。
全ての作業が終わったら、最後に掃除をします。一日で3本のアカマツが角材になりました。



火曜日
ラジオ体操
前日に準備した角材を使って経木を削っていきます。
削る直前に角材の両端を機械で切り落し、ようやく経木のサイズになりました。(寸法取り)
木材は小口から乾きやすいことから、できるだけ削る直前に切り落します。


機械に刃をセットし、まずは試運転。出て来る経木の厚みや表面を見ながら刃の調整をします。
削っている最中も、経木を見ながら機械の音や動きに注意します。4寸と5寸*の経木がありますが、田中さんはこの日4寸を削りました。
※寸:日本で古くから用いられている長さの単位で、4寸は約12㎝、5寸は約15㎝です。


削った経木の厚さを確認し、機械の状態を確かめながら削っていきます。

削った経木は40枚ずつ束にして、後工程チームに託されます。後工程チームが削りたての経木を整えて脱水し、干場に干していきます。

一日の最後に刃を研ぎます。

水曜日
ラジオ体操
地元の林業会社が伐ったアカマツを仕入れに行き、なるべく新鮮で経木に向いていそうな木材を見極めます。アカマツをユニックから降ろし、来週月曜日まで保管します。


5寸の経木を削ります。


12:00 お昼休み。雨の予報でしたが雨が降らず、大場さんとドッチボール、フリスビーをしました。


15:00 15分間の休憩時間。経木チームだけでなくディレクターなど普段事務仕事をしているメンバーも一緒に休憩します。
登山やトレイルランニングが趣味でアウトドアウェアに詳しい田中さん。他のスタッフがレインウェアはどんなものが良いのか質問していました。
毎日15:00のお茶の時間は、ほっとひと息入れられる大切な時間です。

休憩後も引き続き5寸の経木を削りました。
木曜日
ラジオ体操

引き続き、5寸の経木を削ります。


5寸を削り終わると、削った5寸の角材の中から節や割れがあるものを4寸用にリサイズします。
綺麗に木目が出るように見極め、節や割れを落とします。


12:00 お昼休み。大場さんとキャッチボール。大場さんのようなスピードある球を投げたい田中さん。速く投げるコツについて、大場さんに熱心に質問します。


お昼休みが終わると引き続き角材のリサイズと4寸の削り作業をしました。
金曜日
ラジオ体操
小口を切り落とし、4寸の続きを削ります。



お昼休み
4寸を削り終わり、午後からは後工程の作業を手伝います。この日はmiddleサイズの紐の整え作業やshortサイズの検品をしました。
週の後半は、経木の削りが終わったタイミングで後工程の作業に入ります。経木の干し場の作業や検品、美篶堂さんから納品された木のノートやブロックメモの検品・包装など、様々な作業に入っているので後工程の流れを把握しています。
後工程チームからの要望や、後工程作業の中で自身が感じることを木取りや削りに活かしているといいます。


教科書や説明書がないやりがいのある仕事
最後に、経木生産と向き合っていて感じていることや仕事のやりがいなどについて田中さんに聞いてみました。
生きもの(木)を相手にしているので、どの作業でもその場その場の判断や工夫が必要なのが面白く、すべてに勉強のし甲斐があります。
中でも月曜日にやっている“木取り”が一番難しいし、重要な作業だと思っています。太さが違ったり、曲がっていたり。アカマツ一本一本に個性があるのでその度に見極めなくてはなりません。
また、削りの機械には説明書がありません。複数の仕組みや動きが連動しているのでとても複雑ですが、その時の状況から判断して直していく必要があり、機械の調子の良し悪しは音で判断しています。
アカマツの匂いは一本一本違いがあるので、削っていて心地よいです。ヤニが強いとフレッシュな感じがしたり、ツンとする匂いだったり。
スーパーや直売所で経木が並んでいるのをよく見かけます。自分が作ったものが売られているのを見ると、とても嬉しいです。

マニュアルのない難しさと探究しがいのある面白さ
50年以上前の機械を使い、生きている木を扱うからこそ、経木は人の目や手をかけて作られていきます。
こうすれば良いという正解はなく、常に考える。より良くするにはどうしたら良いかを一緒に作り出す仲間と意見を交わしながら改善していく。
「こうすれば良い」というマニュアルや正解のない経木生産の奥深さと面白さ。難しくもあり、楽しくもあり。
この一週間、どんな場面でも常に探究している田中さんの姿を見ることができました。
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